意識調査に見る、LGBTに対する理解の実態について

LGBTの意識調査

これまでに実施されたLGBTの意識調査をいくつか挙げてみましょう。

2015年にNHKが実施した「LGBT当事者アンケート調査」、2016年に日本労働組合総連合会が実施した「LGBTに関する職場の意識調査」 2018年に電通ダイバーシティ・ラボが実施した「LGBT調査2018」、2019年にLGBT総合研究所が実施した「LGBT意識行動調査2019」などがあります。
これらはほんの一部で、他にも自治体が住民向けに実施した意識調査や、教職員向けの意識調査、大学が所属する学生向けに実施した意識調査など、様々なものがあります。
全国の20代~60代の約42万人を対象としたLGBT総合研究所の「LGBT意識行動調査2019」では、LGBTを含むセクシャルマイノリティーに該当する人は約10%おり、多くの当事者が国や自治体、また企業の支援が必要であると回答しています。
これは他の多くの意識調査でもおおよそ共通しています。

ではどういった支援が必要とされているのでしょうか。

多くの調査では、同性間のパートナーシップ制度の拡充について言及しています。
NHKの「LGBT当事者アンケート調査」では、同性間の結婚を認める法律を作ってほしいという声や、結婚ではなくパートナー関係の登録制度を国に作ってほしいという声が寄せられ、実に9割もの人々が、何らかの制度の拡充を求めています。
企業の支援については、同アンケートで「セクシャルマイノリティーであることを理由に企業に採用してもらえなかった」という声が届いており、LGBTへの差別や偏見に悩む当事者がいることが分かりました。

人材を採用する際、LGBTかどうかではなく能力や仕事への適性を正しく判断する姿勢が企業に問われるでしょう。
一方で、LGBTがどれくらい認知されているのかというと、「LGBT調査2018」ではLGBTという言葉の浸透率が約7割、LGBTではない人々がLGBTについて正しく理解したいという割合が76%と、LGBTについての認知や前向きな姿勢が広がりつつあることが分かります。
しかし職場では、LGBT当事者が周囲にカミングアウトすることに抵抗を感じたり、性の多様性に関するサポート体制がなかったりと、こちらはまだ十分とはいえません。

まとめ

LGBTの人々を取り巻く環境はまだまだ厳しいものがありますが、上記の意識調査を見ても、LGBTの認知と理解は少しずつ進んでいるようです。
しかし、サポート体制など課題も多くあります。意識調査も含め、様々な啓発活動を行なうなどして多様な生き方を認め合い、お互いに支え合う社会の構築が望まれます。