漫画から学ぶトランスジェンダー

美しいトランスジェンダー

初版発行が1994年の内田春菊先生の「目を閉じて抱いて」も、トランスジェンダーの金字塔です。
こちらは、ノンフィクションですが、両性具有者である主人公の花房さんの描写がリアルで、
花房さんに惹かれる男女が落ちていくさまもまたリアルです。

トランスジェンダーの人は生まれたままの性ではないので、美しくなるために努力をしている、(努力しているから美しい)という前提が多かったのですが、花房さんは生まれながらの両性具有です。
自身が選択した性で生きている訳ではなく、生きやすい性を選んだというか、
お金になる方を選んで生きているというあたりがリアルです。
花房さんは、夜のお店で売れっ子のショーガールとして生計を立てています。
そこで出会う「普通の」サラリーマンや、「普通の」OLに、望んだり望まれたりして関係を持ち、
そのすべての人達を魅了していきます。

本作は、1996年に、武田久美子さん主演で映画化されています。
毒のある色気と、自身の意図とは関係なく周りが落ちていく、傾国の美女というに相応しい美しさが、花房さんのモデルは武田久美子さんだったのかなと思うほど、イメージにぴったりでした。

まとめ

名作が多く、学ぶことのトランスジェンダー漫画は、電子書籍化されているものも多いので、最近ではより気軽に読むことができます。

今思えば、漫画とはいえトランスジェンダー関連の本を書店でカウンターに持って行く行為というのは、ジェンダーに迷い始めたばかりの10代には大きな試練でした。
しかし、それさえも古い考えなのでしょう、ジェンダーに迷うのすらナンセンス、
好きなジェンダーで好きに生きていくという世界が、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。