トランスジェンダーの治療
はじめに
トランスジェンダーの治療と言えばホルモン注射によるホルモン補充療法が有名ですが、ホルモン療法はあくまでも治療選択肢の一つで初期治療でも最終治療でもありません。確かにホルモン治療の段階の方々は多数おられるとは思いますが、ホルモン治療が一般的な治療と言うわけではありません。
トランスジェンダーの初期治療
心と身体の性の不一致、トランスジェンダーは直訳すれば「性の乖離」。海外ではGID(Gender Identity Disorder)と呼ばれる正式な病名で日本語では「性同一性障害」と訳されています。
例えば、生理がある男子、朝立ちする女子という感覚で、基本的には精神的疾患と位置付けられています。その為、性の違和感を感じたら、まず初めに受診するのは精神科です。
このことは世間の一般常識ではないので、トランスジェンダーかもと感じた方は様々な診療科を受診すると思います。
良い医者にあたり専門の精神科を紹介してもらえれば良いのですが、残念ながら「トランスジェンダーの初期治療は精神科」と言う事は医師の中でも一般常識ではないので、正しい治療を受けられない方もあるのではないかと危惧しています。
トランスジェンダーの治療
トランスジェンダーの方々への治療のメインはカウンセリング等の精神的治療です。
性同一性障害について相談できる相手や理解してもらえる環境が整っていたとしてもトランスジェンダーの方々は様々な精神的苦痛を味わっておられ、その心のケアが治療の基本となります。また、トランスジェンダーであることについての患者さんの意見や今後の希望などについて意見交換を行い、その上で将来設計に合わせた治療にステップアップしていきます。
例えば、性転換手術を行うと、もう元の性別に戻る事は出来ません。
もちろんそれが患者さんの希望であれば進めていきますが、まだ精神的に成熟していない10代の若者などでは衝動的に性転換手術を希望している可能性もあるので、この治療方針の決定は慎重に行っていきます。
将来に向けた治療方針が決まったら、それに向けた準備を始めます。
有名なホルモン注射を行うにも様々な準備が必要となります。ステップアップした治療を行えば、必ず環境が変化します。親と同居していれば、必ず知られてしまいます。
この覚悟や別姓として生活していく環境への適合練習がその準備にあたります。カミングアウトできるか、別姓の外見で生活して周りからの視線に耐えられるかなどを治療の一環として行っていきます。
それが出来て初めてステップアップした治療に入る事ができます。
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