ジェンダー規範とは?「らしさ」を押し付けていませんか?

「○○らしくしなさい」

「男の子だから〇〇しなさい」「女の子なんだから〇〇したらダメ」そんなフレーズを聞いたことはありませんか?
筆者は女性ですので、小さい頃から「女の子なのだから大人しくしなさい」「女の子なんだからズボンばっかり履くんじゃありません」「女の子なんだからハンカチくらい持ち歩きなさい」などなど、散々言われて育ちました。
また就職の際にも、女性は事務職の方が就職しやすかったり、総合職で内定をもらった女性は表彰されたりしていました(なんでもその会社では総合職として入社する女性は初だったからだとか)。
そういった物事の背景には、ジェンダー規範が人々の無意識下にしっかりと根付いているのです。

ジェンダー規範とは

ジェンダー規範とは、性別に基づく社会的な規範のことです(妊娠出産等は社会的規範ではなく性差そのものなので、ここには含まれません)。
いわゆる「女性らしさ」「男性らしさ」といった漠然としたもの、「家事は女性が行うもの」「男性は外で働くもの」といった(多分に思い込みを含んだ)常識観なども含まれます。
ジェンダー規範の「規範」には基準、手本という意味があるので、長年、人間が培ってきた「女性のお手本像」「男性のお手本像」のこととも言えるかもしれません。
さて、手本ということは、それに近いものは賞賛し、それから遠いものは矯正する基準になるということです。
そのため、ジェンダー規範はしばしば本人ではなく周囲の人間が用い、他者を賞賛あるいは(多くの場合で)批判・矯正する根拠として使われます。
「女のくせに」「男のくせに」といったセリフを投げつけられたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
そのような言葉は聞く側からすれば不快ですし、LGBTの方など、ジェンダー規範を武器として使いがちな人々がそもそも配慮していないような方々が聞けばとても傷つきます。
またジェンダー規範そのものも、それを扱う人の文化的背景や社会情勢によって異なってくるので、「〇〇らしく」と同じ言葉を使っても180度真逆の「〜しなさい」が続くこともあります。