高校生が持つLGBTに対する意識と理解促進への課題について
序章
性的少数者(セクシャルマイノリティー)を表す言葉の一つとしてLGBTが広く用いられています。
各種の調査で、日本にもLGBTの人が一定数いることが知られていますが、それは多感な時期を迎える高校生も例外ではありません。
この記事では、高校生がLGBTについてどう考えているのかを紹介し、高校生へのLGBT教育の実態を垣間見るとともに、LGBTを正しく理解するにあたっての課題について考えます。
高校生を対象にしたLGBTに関する調査
2017年、三重県の全日制の県立高校に通う高校生約1万人に対し、セクシャルマイノリティーを取り巻く学校生活やいじめの現状について、大規模な調査が実施されました。
それによると、LGBT当事者は約10%含まれることが分かりました。
ここでいうLGBT当事者とは、同性愛者のゲイ・レズビアンや両性愛者のバイセクシャル、身体の性と心の性が一致しないトランスジェンダーの他に、心の性が定まっていないXジェンダー、恋愛対象になる性が分からない人を含みます。
また、LGBT当事者の3割以上がわざと自分の身体を傷つけたことがあり、当事者の約6割が、すべてが嫌になるほど悩んだと回答しました。
これらはLGBT当事者でない人よりも多い割合となっています。LGBT当事者はまた、そうでない人と比べ多くの人が、無視や仲間外れにされたり暴力を受けたりといったいじめを受けていました。
「男らしくない」「女らしくない」といった、性への偏見とみられる言葉も投げつけられていました。
LGBT当事者は、その約半数がセクシャルマイノリティーに対する周囲からの偏見を感じ、約9割もの人が誰にも相談したことがないとも回答しています。
さらに、「学校には安心できる場所がある」や、「力になってくれる友達や先生がいる」と回答した当事者は半数もいませんでした。
これらのことから、LGBT当事者の高校生は、学校生活において大変辛い思いをしている現状がうかがえます。
一方で、LGBTやセクシャルマイノリティーという言葉を知っているかという問いに対しては、LGBT当事者でない人で約3割、当事者でも約2割が「言葉も内容も知らない」と回答しており、LGBTに対する認知度が必ずしも高いとはいえず、さらなる周知や理解の促進が必要な現状が見られました。
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