LGBT教育(LGBTに配慮した教育)とは?取り組みと課題

LGBT教育(LGBTに配慮した教育)の必要性

LGBTに対する社会的理解やサポートが広がっていくためには、教育の役割は欠かせません。
LGBT本人が自分の性自認や性的志向について気づくのも思春期であることが多いですし、その時期にクラスメイトや教員の配慮のない言動によって傷ついたり、自分のアイデンティティについて思い悩んでしまうことも多いです。
こうした課題について、小学校・中学校・高校などの学校でLGBT教育が進められていくことは大切です。

日本政府のLGBT教育の取り組み

文部科学省は平成27年に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知を出して、LGBT教育についての学校現場向けのパンフレット等を発行しています。
そこでは、学校現場で既にLGBTの生徒から相談を受け、具体的な取り組みが進められていることがわかります。
平成26年の調査では全国で606件の対応例があり、自らの性自認にあわせた制服を着ることを認めたり、更衣室やトイレの使用に配慮したり、修学旅行で1人部屋や入浴時間に配慮するなど、個別の具体的対応が行われています。
文部科学省は、そうした具体例を各学校が対応の参考にできるよう周知しながら、支援のサポートチームを作る、相談体制を整える、医療機関と連携するなどの校内体制を整えて個別対応を進めていくようにガイドしています。

消極的LGBT教育から積極的LGBT教育へ

日本でもこうしたLGBT教育の具体的な取り組みが実際に進められていることが分かりますが、まだ十分とはいえません。
問題なのは、あくまでLGBTの生徒本人からの相談を受けて、その子の生活面での不利益や不安をどうするか、といった対応にとどまっていることです。
必要なのは、LGBTの生徒からの相談や申し出がない場合にも、人々には多様な性自認や性的思考があって、何が正しくて何が変だというものではないのだ、という様々な人への理解をうながす教育です。
相談に対して事後的に対応を考える消極的なLGBT教育から、先手を打って様々な人のあり方について理解を深めていくような積極的なLGBT教育が必要だといえます。