ジェンダー規範とは?「らしさ」を押し付けていませんか?
それでも使ってしまいがちなジェンダー規範
前述の通り、不確かな上に他者を傷つける武器になったりするジェンダー規範ですが、そうは言っても多くの人がこのジェンダー規範を使いがちです。
褒めるのにも貶すのにも、「男らしい」「女らしい」という言葉を全く使ったことがない人はいるでしょうか。
よく考えてみれば「男らしい」「女らしい」をつけなくても文章として成り立つという時ですら、わざわざつけていませんか(私も今となっては、例え女の子でなかったとしてもハンカチは持ち歩いた方が便利なことはわかります)。
なぜジェンダー規範を使ってしまうのかというと、使う側には2つのメリットが有るからです。
まずは、楽だから。何が楽かというと、「らしい」の一言で自分の言いたいことが全て表現された気分になって、それ以上考えるのをやめることができるからです。
例えばとある女性を素敵だと思ったとして、その女性が自分が思う女性らしさの特徴をいくつか備えていたとき、「女性らしくて素敵」の一言で済ませることができます。
もう一つは、簡単に言葉に説得力を持たせることができるからです。
「男らしい」「女らしい」という言葉を使うとき、その人は自分の意見をあたかも大勢の意見の代表のように言うことができます。
受け取る側も、その人が言う「男らしさ」「女らしさ」がその場の文化的背景などと大きく外れていない場合、簡単に納得することがあります。
このように、ジェンダー規範は使う側にとってはとても使い勝手がいいことがお分かりいただけましたでしょうか。
そして同時にお気づきでしょうか。
使う側にとってはそうでも、使われる側にとっては(ひと言で済ませられても)「何を言いたいのかわからない」し「納得したような気分にはなるけど何一つ納得していない」という事態も大いにあり得るのです。
あなたが思う「〇〇らしさ」は、本当はなんですか?
生き方が多様になった現代において、既存の、目に見えないジェンダー規範に縛られて生きるのは息苦しいものです。
この息苦しさから抜け出すには、まず多くの人々が自らのジェンダーに対する思い込みに気づき、ジェンダー規範を使うことで得ていたメリットを手放す必要があります。
もしあなたがジェンダー規範を使ったな、と思った時には、少し立ち止まって「この〇〇らしさは何だ?」と考えてみてください。
「仕草がおしとやかで綺麗」?そのまま褒めましょう。「女性らしい」という言葉は不要です。
「男の子なのに可愛い」?男の子でも可愛い人は可愛いです。
「家事は女性の仕事」?それは「自分でやるのはめんどうだからやってほしい」ということでしょうか、それとも「旦那に任せるとキッチンが悲惨になるから自分がやりたい」ということでしょうか。
それによって解決策は変わってきます。
「らしさ」で括って自分や他者を縛るのではなく、お互いに気持ちよくいるためにも、「らしさ」を分解してみてくださいね。
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