人権侵害では?トランスジェンダーの戸籍変更に伴う問題

新しい家族のあり方を認める社会へ

性同一障害特例法が、生殖能力がないことを戸籍変更の要件に含めているのは、例えば戸籍上の性別を男性とした場合に、男性として子どもを出産するようなことが起こりうるので、それが「社会的な混乱」を招くからだとされています。
しかし、そこで招かれる「社会的混乱」とは何なのでしょうか。
戸籍や家族に関する様々な法律は、男性と女性が夫婦として家族の形を前提として作られているので、これまでの家族の枠組みにおさまらない新しい家族の形が許容できていません。
これまでの法律の枠の中で矛盾が起きないようにするために、トランスジェンダーをはじめ様々な性的マイノリティが不都合を強いられてきたのです。
しかし法律よりも問題なのは、社会が新しい家族を許容することができるかどうかではないでしょうか。
お父さんが子どもを産む家族がいたり、お母さんの精子で生まれた子どもがいたりしてもかまわない、そんな家族の形もあるのねと人々が自然に認められるようになる変化が、今の日本社会に求められているといえるでしょう。
法律家や政治家が「社会的混乱」を心配しなくてよい社会の実現には、一人ひとりが意識を変えていくことが必要です。