親友とトランスジェンダー男性との恋愛

親友A子と彼氏との出会い

私は親友A子とは同じ高校で同じクラスになり仲良くなりました。
A子は背が低くいつもニコニコしてい愛嬌のある子で、学校でも人気がありました。恋バナに花を咲かせるごくありふれた女子高生活でした。
それからA子は地元の大学に進学し彼氏ができた事を嬉しそうに話してくれました。ただそれは妻子持ちの年が二回り上の男性…。
その彼とは長く付き合う事はなく、A子はアメリカへ留学しました。
そこでアメリカ人や台湾人のボーイフレンドができた事をよく電話で話して盛り上がっていました。
それからA子が帰国し、私も帰省したタイミングで会うことができました。
約2年ぶり、最近は彼女が帰国後でバタバタしていたこともあり連絡もマメに取れていなかった事もあり、彼女からどんなお土産話が聞けるのワクワクでした。
私は彼女の近況を聞きたかったのになぜか彼女は高校時代の思い出話を懐かしそうに話てきます…。
そして、実は同じ高校だったアキと付き合っている事を話してくれました。
ただ私にはすぐに理解する事はできませんでした。
そう、アキは女性だったからです。え、!?どういうこと!?私の頭は追いつきませんでした。

親友A子とトランスジェンダー男性との恋愛

私がアキに持っていた印象は、控えめでボーイッシュな女の子。
ただ高校時代同じクラスになったことはなく、すれ違えば挨拶する程度の仲でした。A子とアキも特別仲がよかった事はなく、私はただただ不思議でした。
ただA子からはアキとは留学前に何回か食事をしていた事を聞いていました。友達として、です。それがなぜ恋人として“付き合う”事になったのか…。
実はA子は留学中もアキとは連絡を取り合っていたようで帰国後再開し、アキから男性として好きだ、と告白され付き合う事になったのだとか。
私はその事実を打ち明けられたとき、ただただ親友としてA子が心配でした。
今まで男性としか付き合ったことがないA子。
彼氏っていっても女性同士の恋愛でしょ?将来はどうなっちゃうの?そもそもなんでアキなの?混乱する私に、A子は丁寧に説明してくれました。
A子自身もアキが男性として自分を好きなんだとはっきり気付いたのは帰国後再会してからだったそう。
ただアキの男性らしい一面と可愛らしい一面とのギャップにやられ、付き合う事に決めたとのこと。
ただ苦労する事もあって、デート中アキは多目的トイレにしか入りたがらないため時間がかかったり、A子といる時は男らしくいたいため自分の高い声を気にしてレストランなどで一切注文をしなかったり…。
そして私が何より心配になったのはA子に対する束縛です。
アキは自分が男になりきれない事に劣等感があり、A子が他の男性に目がむかないようにかなり厳しく見張っていました。
こんな感じならA子もしんどくなってすぐに別れるだろう、そんな風に思っていました。
それからA子からはよくアキの話を聞きました。
一緒に洋服を選ぶのが大変だったり、アキが職場で辛い思いをしていたり、それからアキは手術に悩んでいることも話てくれました。
A子はいつもアキと一緒に悩んでいました。どうしたらアキに辛い思いをさせずに一緒に暮らしていけるか…。
気付けばA子とアキが付き合って3年が経っていました。
私はA子に誘われ、アキと3人で会ってみる事にしました。
私は高校卒業以来アキには会っていないしどんな顔で会えばいいんだろうと緊張していましたが、会って話てみるとなんだかどこにでもいる好青年という印象で、何より嬉しかったのがA子を本当に大切に想ってくれていた事です。
A子は留学先でトランスジェンダーを含むLGBTの人たちと知り合えた事で、自然と性のマイノリティーは当たり前だと思っていたみたいです。
A子の留学先のゲイやトランスジェンダーの友達とアキを会わせて食事をしたこともあって、なんだか楽しそうだな、と思い私は二人を応援していく事を決めました。

親友A子とアキの将来

私がA子ともアキとも会うようになってから2年ほど経ったころ、彼女たちは「同性パートナーシップ制度」を利用して、晴れて公認のカップルとなりました。
ただこの制度で認められる事もあれば、やはり婚姻とは違うので認められない事もあります。
彼女の職場はパートナーシップ証明があれば、配偶者として認めてくれ、同等の手当を受け取る事ができています。
そしてこどもの事でも悩んでいます。
今はお互いに2人の時間を楽しむ事を優先しているようですが、ゆくゆくは養子縁組も検討したいと。
そしてアキの手術の事、アキが手術をすれば戸籍上も男性として認められますが、二人が現状幸せであるのに健康な体にメスを入れる必要があるのか…。
彼らの悩みは尽きないと思いますが私はどんな時でも彼らを友達として応援し、理解者でありたいと思っています。

親友として親友が同性パートナーを得た事

私は親友がトランスジェンダー男性のパートナーを得た事によって、自身のLGBTに対する考え方も変わった気がします。
自認性も性表現も個人の自由であるしごくありふれたことだと思います。そして日本でも早く同性婚が認められ、多くの同性カップルが異性カップルと同じ権利を手にする事を願っています。