ジェンダー意識の明るい変化の実感

令和になって感じるジェンダー意識の変化

昭和生まれの私が『ジェンダー意識』の概念を知ったのは、インターネットが普及し定着した2000年代だと思います。
もちろん、ジェンダー意識そのものは人類が生まれ文明的な生活を始めた頃からすでにあったものです。
男は家族を養い、女は家を守る。自然と育まれてきたそれを、気にすることもなく受け入れてきました。

例えば私が子供の頃は、小学校のランドセルは男子が黒、女子が赤の二色のみ。
それが当然と疑うこともなく、赤いランドセルを使っていました。
ところが、姪っ子が選んだランドセルを見せてもらうと、可愛いピンクと紫色の配色だったのです。
様々な色のランドセルが用意され、性別に関係なく好きなものを選べる体制が整った現在。
性別による価値観の概念が壊されつつある瞬間に、立ち会ったような気がしたのでした。

ジェンダー意識を見つけやすくなった利点と弊害

核家族化が進み、女性が活躍する必要性が打ち出され、イクメンという言葉が流行りだした最近の日本。
そうした流れが出来たのはポジティブな人権意識が育ったためではありません。
バブル崩壊・リーマンショックを経た結果、夫婦共働きでなければ家計と生活を維持できない人が増えてしまったことによる「変えざるを得ない」ややネガティブな理由によるところが大きいのでしょう。
こんな状況で「男は一家の収入を稼ぎ、女は専業主婦で家事と育児に専念」と昭和の考えを貫いていたら、家族は路頭に迷ってしまいます。

時を同じくして、ネット社会が発達し、誰もが自分の考えを自由に発表できるSNSなどの環境が揃いました。
他のご家庭はどのように働き、夫婦で家事育児の分担をしているのか。
井戸端会議で聞くよりもずっと多くの赤裸々で切実な事情を、ネットを介して知ることが可能になったのです。
子供を預けやすい保育所はどこか。
子供の進学にはいくら用意すべきか。
役立つ情報を見つけられることで、より良い家庭を築くための判断材料が充実したり、同じ環境にいる人とつながることで育児の孤独が解消されるのは、ネットの利点です。

しかし、社会で活躍する立派な旦那・主婦の活躍が簡単に目に入るようになったことで、「こんな子育てじゃ駄目だ」と自責の念で育児ノイローゼになる人の存在も見えてきました。
育児・家事バランスや労働概念の対立による「そっちは楽でいいよな、こっちはこんなに頑張っているのに」の怒りを含んだ言い争いがSNSで頻発する弊害も生まれたのです。
ネットの向こうにいる誰かと常に比較され続けているような焦燥感。
「よそはよそ、うちはうち」と割り切る事が難しくなり、男女問わず大変な時代に突入しています。